コールセンターに必要な人員を募集して採用したりします
(1)のシステムを作る人は、ビジネスの構想が固まった後、(2)の人たちに、構想実現に必要な各機能分野について「具体的なオペレーションシステムを作ってくれるよう」依頼します。
代表的なものはITシステムですが、それ以外でも物流システム、マーケティングや広告の仕組み、コールセンターなどが必要です。時には店舗開発も必要でしょう。(1)の人がこれらすべてを作るわけにはいきませんし、そんなスキルもありませんから、必要に応じて専門家である(2)の会社にそれぞれを委託します。各仕組みを構築してもらえるよう“発注する”と言ってもいいし、“アウトソーシングする”と言ってもよいでしょう。
(2)の人はそれぞれの分野のプロですから、(1)の人が必要とするものを具体的なスペックに落とし、どの程度の予算でそれが実現できるかという予算をたて、(1)の人と話し合いながら詳細設計を提案していきます。
詳細スペックが決まれば、(2)の人が属する会社は実際にその仕組みを作りはじめます。ここでは、(2)の人に指示をされながら(3)の人が具体的な作業をします。プログラムを書いたり、店舗を改装したり、広告に必要な写真を撮ったり、コールセンターに必要な人員を募集して採用したりします。
人数としては(1)よりも(2)の人が多く、(2)よりも(3)の人が相当多く存在します。
(3)の人の作業が終了すると、(2)(3)の会社は(1)の人にできあがった仕組みを“納入・納品”します。(1)の人は自分の構想実現に必要な各機能の仕組みを手に入れるのです。そして、全体としてのビジネスや制度がローンチされ、動き始めます。
実際に仕組みが回り始めた後、それらのプロセスを実際に担うのが(4)の人です。コールセンターで電話応対をしたり、倉庫で必要な商品をピックしたり、工場で組み立てたり、箱詰めしたり発送伝票を貼ったりする人たちです。
(4)の人たちはほぼ100%が非正規社員で、時給で働いています。軽作業ほど時給は安いです。(4)の人たちはものすごくたくさんいます。
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その他の特徴をまとめておきましょう。(1) (2) (3) (4)の職業には、下記のような特徴があります。
・上にいくほど給与が高い。
・上にいくほど仕事は非定型である。すなわち、上にいくほど“ゼロから考える仕事”であり、下にいくほど“余計なことは考えるな。それを考えるのはお前の仕事ではない”といわれる仕事です。
・上にいくほど仕事をおもしろいと思っている人が増えるでしょう。
・上にいくほど人数は少なく、世の中の大半の人は(3)か(4)として働いています。
・(3)と(4)には、時給で働く人が多いです。(3)の人の中には正社員の人もいますが、その場合はサービス残業などが多く、実質的な時給は(4)と変わらなかったりします。
・(3)の人は将来(2)になれる可能性がありますが、(4)の人は一生(4)のままです。
・(2)の人はたいてい正社員です。なかには会社をやめて“エキスパート”として独立する人もいます。ごくごくたまに(1)になる人もいますが、多くはありません。
・(1)の人には、大企業の社員や大組織の構成員(公務員など)と、自分で事業を始める“起業家”の2種類の人がいます。(1)には“超保守エリート”と“リスクテイカー”が混在しているのです。(なお、優等生たる“保守派エリート”の大半は一生(2)にいます。)
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実は、昔からこういう4種類の仕事はありました。仕事としてはどれも必要ですから当然です。
(1)の人たちは海外の起業家や事業家、時には国家と戦うことを求められます。日本でオンラインショップで大成功!と思っていたら、海外企業であるアマゾンが殴りこみをかけてくるとか、日本で一番の空港だ!と思っていたら、韓国の空港に“アジアのトップ空港”の座を奪われたりし始めたのです。
日本における(1)の人たちのふがいなさが明確になるにつれ、“もっと奮起しないと”と思う“将来の(1)候補”も出てき始めます。彼らはもう「日本において(2)ではなく(1)である」ということには満足しないし、そんなことにかまっている暇はない、と思い始めます。彼らが見すえなければならないのは、海外の(1)との戦いだからです。
これは(2)も同じです。彼らも海外ベンダーとの競争にさらされてはじめます。そして(3)や(4)の人たちもまた、インドや中国のワーカー達とコスト比較される時代になったのです。
これにより、従来は縦に連続的につながっていた(1)から(4)の仕事は、横に分断されはじめます。(1)は(1)、(4)は(4)であり、時間がたてば(4)の人もいつかは(1)になれる、ことはもう起こらない時代になったのです。
そして将来的には、この4つはいわゆる階級的に“最初から分断されたポジション”として確定していくでしょう。