学芸会の主役はPTAの会長の息子なんだよね



以下は、PTAの会長なんて、金持ちにやらせとけばいい、という話に関連して――。

オレらの頃は、学芸会の主役はPTAの会長の息子なんだよね。寄付金多いし。やっぱり会長の息子で、こんな頭のデカいやつがいてね、それでそいつがすごいバカなの。バカで、鼻たらしたりなんかしてる。一番前に座ってて、みんなの消しゴム投げの的なのね。頭大きいしさ。だけど、会長はかわいくてしようがない。金出して、学芸会の主役になっちゃった。先生が「〇〇君が主役です」って言うと、みんなゲラゲラ笑っちゃってね。で、最初「浦島太郎」やることになってたんだけど、頭がデッカいでしょ。亀はこんなに小っちゃいし、浦島太郎はデッカイしゃもじみたいだし、おいらが見ると、どう見たって「ガリバー旅行記」なんだよね。先生もそう思ったのか「ガリバー旅行記」に変えようということになっちゃって。そしたら、PTAの会長が怒っちゃってさ、ムッとして会長をやめちゃったの。そしたら、寄付金、少なくなっちゃってね、運動会もお菓子が少なくなった。うちのお袋なんか、なんであの会長やめさせたんだって、怒ってるの。

次から次に鉄砲玉のように出てくるこんな話に触れてると、昔の下町の貧乏人の知恵というか、したたかさというか、いまのぼくらはこういうものを失ってしまってるなあと、あらためて感じます。


天野祐吉のあんころじい:So-netブログ