価値あるモノとして見せる演出をしてきた

本来贈与の対象であった知識に値段を付け、商品として売るその時点で、すでに知識は価値を下げている。であるからこそ、本は装丁やデザインによって
「付加価値」を加えてきたのだ。価格以上に価値あるモノとして見せる演出をしてきた。だが何よりもその中身、本の内容=知識に価値が無ければ本は価値を失
う。内容の無いものをどんなにきらびやかに見せたところで売れるわけはない。

本が売れるためには、知識本来の姿を取り戻すことが必要なのだ。つまり贈与の姿に近づけることだ。そのためには本の価値を価格以上のものにすることしかない。価格以上であればそれは贈与となる。そのとき本の価格は本を与えてくれた相手への返礼となるのだ。

電子ブックも例外ではない。どんなに便利な機能を加えたところで価値のない内容であれば売れはしない。知識は贈与であることを忘れてはいけない。











電子書籍時代のブックデザイン 75●本が売れないのは、本来「知識」は商品ではなく贈与されるものだったからだ。本には価格以上の価値がなくてはならない。: Marginalreview