やなせ先生は、どうしたものかと戸惑います

当初アンパンマンは、あまり世間から受け入れられませんでした。もともと幼稚園保育園に直接販売される直販本で普通本屋に出回りませんでしたし、出版社からは「アンパンマンはもうこれっきりで」といわれ、幼稚園先生からは「顔を食べさせるなんて残酷」と怒りの手紙が届き、絵本評論家からは「子供はこんなくだらない絵本を読んでも面白がらない」と酷評される始末。



しかし「あんぱんまん」を認める層が徐々に増えつつありました。

子供には向かないとされたアンパンマン見出したのは、皮肉にも二歳・三歳の子供たち。


どこに行っても、「うちの幼稚園子供アンパンマンが大好きで」などとと言われ、もう少し高年齢向けの作風だったやなせ先生は、どうしたものかと戸惑います。アンパンマンも気持ちとしては小学生くらいの児童に向けて書いていたもの。今まで五歳以下に向けた作品を作るのは無理だと思っていたのに、どうしたものか。しかしやなせ先生はそこで決心を固めました。






この読者層に対して、大人はどう対処するのか。甘い赤ちゃん言葉で「かわいいウサちゃん」くらいのところでお茶をにごしていたのではないか。


ぼくは真剣に考えるようになった。そして、自分のメッセージをしっかりと入れることにした。


正義とは何か。傷つくことなしに正義は行えない」

やなせたかし 「アンパンマン遺書」)











アンパンマンができるまで その3 - 愚仮面