YANAI MICHIHIKO インタビュー ストリートファッション マーケティング ウェブマガジン

実は簡単に作れるんですよ、広告って。すごくいい広告じゃなければの話ですけど。なんか写真撮って、文字入れるときにオレンジにするかピンクにするかで、別にそれなりにできちゃうんですよ。白い紙に何も生まれない恐怖みたいなのがないんですよね。だから良くないんだと思います。例えば、「不思議大好き」だったら「素敵大好き」とかって書いたらパクリって言われるんだったら「素敵愛してる」って書けばいい。なんとなく広告っぽいでしょ、それがちょっと危険だと思いますね。みんな「××っぽい」で満足しちゃってる。


よく、自分に出来ることを自分らしくやればいいんだとか、無理しなくていいんだとか、自分を壊したいです、とか、逃げます、みたいな話をするとすごく共感してくれるんです、特に若い人たちが。でも、そのときに危険だなって思ったのは、僕は基礎が出来ているんですよ。その後で、マズイと思って壊したんです。


『月刊風とロック』の秋ぐらいの号で使おうと思ってるインタビューで、miceteeth(マイスティース)っていうグループの人が言ってたんですけど、「型にはまらないと型は破れない」って。名言でしょ。型にはまることを怖がらないで欲しい。そのときにたぶん、どんどん溜まっていくと思うんですよ。いつか俺も、みたいな思いが。そういう意味では、僕は、博報堂にいた7年ぐらいの何やってたかわからなかった時期とか、浪人で3年間無駄に過ごしたのがある意味大事で。たぶん、僕が会社に入って最初におまえに豊島園との広告任せるよとか、自由にやっていいからパルコの広告つくってごらんって言われてたら、そういう人たち僕の周りにいっぱいいましたけど、その人たちはリバウンド力が溜まっていかないというか、すぐ広告が嫌いになっちゃうとか、今頃は辛い気持ちで広告つくっている人になってたように思いますね。


岡さんとか、佐々木さんとかもそうなんですけど、元営業だったり、雑誌の媒体担当だったりしてるんですよ。本当はクリエイティブにつくりたいのにつくれなくて、いつかはつくってやるっていうモヤモヤが10年ぐらい溜まってるんですよ。だから年取ってもモヤモヤがまだ残ってるっていうか。ただ、モヤモヤの最中で病気になったり死んじゃったりしたらもったいないので、それは要注意なんですけどね。モヤモヤは重要ですよ。それとセットであるのはドキドキですね。広告つくるのに疲れている人はドキドキしていない。モヤモヤしている人はドキドキするんですよ、ステージに上がらされると。










箭内道彦/YANAI MICHIHIKO インタビュー ストリートファッション マーケティング ウェブマガジン ACROSS(アクロス)