クリスチーナさんがそれぞれ救出を待っており、2人が罵りあいを続けているというのです

33人の作業員が今も地下に閉じ込められているチリの鉱山落盤事故は、奇跡の救出劇を生み出すドラマとして、世界中の耳目を集めていますが、一方で、金と愛憎がからむどろどろの家族模様も露呈しているようです。

 

 鉱山の入り口でキャンプをはって救出を待つ家族たちの間に、諍いが起こってしまいました。現場は、報じられているような美談ばかりではないのです。


AP通信が「家族内の確執を露呈した鉱山事故」と題した記事で伝えています。


 33人の作業員のうち、34歳のヤネズさんという男性がいます。地上では、彼の母親のマルガリータさんと内縁の妻のクリスチーナさんがそれぞれ救出を待っており、2人が罵りあいを続けているというのです。


 ヤネズさんとクリスチーナさんは10年のつきあいで、子どもが2人います。嫁姑はこれまで、6年間も口をきかない犬猿の仲だったとのこと。しかし、今回の出来事で、今後も数週間、ずっと地上のキャンプで顔をあわせなくてはいけません。


 ヤネズさんの一大事というときに、勃発した嫁姑戦争。2人とも譲れない喧嘩の争点の一つとは、ヤネズさんに支払われる8月分の賃金とチリ国内から集まった義援金をどちらが受け取るかということです。


 この問題を管理する地元自治体は、地下にいる作業員それぞれに連絡をとり、どの銀行口座に振り込んだらいいか、作業員の方から指定してくれと頼みました。つまり、お金の行方は作業員のほうに決定権があり、それをめぐり、マルガリータさんとクリスチーナさんが気をもんで待っているのです。


 「あの人は自分のところに義援金や救援物資がくると思っているようだけど、そんなことはさせないわ」と母親。妻は妻の方で、これに反目していました。結局、ヤネズさんは2人の育児をしなくてはならないクリスチーナさんの方を受取人に選びました。


 しかし、問題はこれで解決したわけではありませんでした。親戚が仲介役に入って、嫁姑はとりあえず人前での諍いをやめただけ。ヤネズさんが救出したのちに、2人の間にどれだけ分配するか決めるという解決の先送りをしただけのようです。


 家族のもめ事は他人にはわからないものです。こうして、字にすると「結局は万事が金」と血の通っていない単純なストーリーになってしまいます。本当は、もっと複雑な事情があるのでしょう。


 しかし、マルガリータさんやクリスチーナさんがやきもきするのも無理はありません。33人の生存が確認されたニュースは連日、伝えられ、作業員のもとには多額の義援金が寄せられるようになりました。


 ビジネスマンのレオナルド・ファーカスさんという人が、作業員それぞれに1万ドルを寄付しました。ファーカスさんはさらに多くの寄付を呼び掛けました。そうしたことも手伝って、義援金の総額も上積みされています。


 鉱山のほうも今回の事故で、経営は苦しくなっているようです。8月分の賃金はだすことはできましたが、作業がストップしていますから、資金繰りが苦しくなってきていて、鉱山の閉鎖さえも現実のものとなってきました。 


 そのため、作業員は脱出してきたときにはすでに、解雇を突きつけられる恐れもあります。この不況の中で、ほかの仕事を探すのは困難ですから、厳しい現実を突きつけられた家族も必死なのです。


 ほかにも、妻と愛人の痴話喧嘩や、血のつながっていない子どもたちがキャンプで再会し、父親の無事を祈るというエピソードもあるようです。


 33人それぞれの家族模様・・・ 


 AP通信は、「彼らの生活ぶりは、まるで世界情勢がそうなように、複雑なのだ」とも伝えています。










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